■「関節のポキポキ音」=危険?
関節が「ポキッ」と鳴ることがあります。これはキャビテーション現象と呼ばれ、関節内部の圧力変化によって気泡が弾ける音です。

この音自体は必ずしも悪いものではありませんが、「音が鳴る=良くなっている」と誤解されがちです。また、無理に引っ張る施術や矯正は関節や軟部組織に負担をかけるリスクもあります
■人の身体は「引っ張り」に弱い構造
私たちの関節は、「押し合う力(圧力)」には比較的強く作られていますが、「引き離す力(牽引)」には非常に弱い構造です。
⸻関節が「ポキポキ鳴る」のは危険?牽引とキャビテーションの真実
「施術中に関節がポキッと鳴った!」「引っ張るとスッキリする気がする」
そんな声をよく耳にします。
しかし、関節を無理に引っ張る施術や矯正は、本当に安全なのでしょうか?
今回は、関節の構造とキャビテーション(ポキポキ音)の正体、そして牽引によるリスクについて、整骨院の視点からわかりやすく解説します。
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■関節が鳴る「ポキポキ音」の正体:キャビテーションとは?
関節を動かしたり引っ張ったときに鳴る「ポキッ」という音。
これはキャビテーション現象と呼ばれています。
関節の中には「関節腔」と呼ばれる小さな空間があり、その中に関節液(滑液)という潤滑液が満たされています。
この空間の圧力が変化したとき、滑液中に気泡が発生して弾ける音が「ポキッ」という音の正体です。
つまり、「鳴った=ズレが治った」というわけではなく、音が鳴ること自体が治療効果とは限らないです。
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■関節の構造と「牽引の危険性」
関節は、骨と骨が関節包に包まれ、その中に滑膜や滑液が存在します。
この滑液は、関節の滑らかな動きと栄養供給に欠かせない役割を果たしています。
しかし、過剰な引っ張り(牽引)による刺激は、関節にとって負担となる可能性があります。
人間の関節は、押される力(圧力)には比較的強く作られていますが、引っ張られる力には非常に弱い構造です。
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■滑液はどうやって作られる?
関節の内側には「滑膜(かつまく)」という組織があり、ここで滑液が作られています。
この滑膜に適切な圧刺激を加えることで、滑液がじわじわと出てきて、関節の動きを滑らかにします。
イメージとしては、水を含んだスポンジを優しく押すようなものです。
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■牽引機や無理な矯正には注意!
一部の施術では「牽引機」や強い引っ張りを用いる場合もありますが、体への負担が大きくなりがちです。
特に以下のような場合は注意が必要です。
• 首や腰の強い牽引
• 自分で首を鳴らすクセ
• SNSで流行する「骨格矯正」
間違った力加減や方向性で関節に負荷をかけると、靭帯や神経に悪影響を与える可能性があります。
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■整骨院では「安全で効果的な刺激」を大切に
当院では、関節の構造と身体の仕組みに基づいた、安全で無理のないアプローチを心がけています。
「音が鳴ること」ではなく、
関節の正しい位置と動き、滑液の循環、そして全体のバランスを整えることが大切です。
ポキポキ音や自己流のストレッチで不安を感じた方は、ぜひ一度ご相談ください。
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■まとめ
• 関節が鳴る音=治った、とは限らない
• 人の身体は「引っ張り」に弱く作られている
• 適切な圧刺激が関節液の循環に効果的
• 牽引施術にはリスクがあるため慎重な判断が必要
安心・安全に身体を整えるためには、正しい知識と技術に基づいた施術が必要です。
不安な症状や違和感がある方は、専門家にご相談ください。
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