最近、股関節の痛みを訴えて来院される方が多く見られます。
特徴的なのは、体重がかかっていない非荷重の状態で違和感や痛みを感じているというケースです。
一般的には、負担がかかりすぎて痛みが出ると考えると思います。
しかし体重(重力)がかからなすぎても痛みとしてあらわれることがあります。
これは、股関節内での潤滑がうまくいっていない、いわゆる関節の「はまり込み」が悪い状態になっている可能性があります。関節包内の滑液の分布がうまくいかず、関節がスムーズに動かない状態です。
歩行時や内外旋時の股関節痛の原因とは?
歩行中や股関節を内外旋(内側、外側にひねる)したときに痛みが出るという患者さんが増えています。
こうした症状の背景には、股関節の「潤滑不全」が関係していることがあります。
潤滑不全とは?

滑らかに動くためには関節内で「滑液(かつえき)」という潤滑液が適切に分布している必要があります。
しかし、はまり込みが悪くこの潤滑がうまくいかなくなります。
さらに段々と股関節の動きの中心(回旋中心)がズレてしまう。
非荷重(体重がかかっていない)状態が続いたとき、股関節が外旋し、前方に変位(ずれる)するような動きになります
その状態が続いたときに後方部分での潤滑不全が起こる傾向があります。
※すり鉢をイメージしてください、通常は、中心で回して使うと思います
回転中心のズレは、この中心で使えなくなった状態です

どうして痛みが出るのか?
潤滑がうまくいかず、関節の中で滑らかな動きが失われると、関節包や周囲の組織に摩擦ストレスがかかり、炎症や痛みとして現れます。特に歩行や内外旋動作の際にそのストレスが増し、痛みを引き起こすのです。
荷重がかからないと、股関節に「牽引ストレス」がかかる?
股関節の痛みの原因を探るうえで重要な視点のひとつが
「荷重(体重をかけること)の有無による関節内圧の変化」です。
非荷重状態では関節内が陰圧になる
股関節に体重がかかっていない非荷重の状態が続くと、関節内の圧力が「陰圧(内部が引っ張られるような状態)」になります。
これは、関節内の空間がわずかに広がることで起こり、関節包や靭帯、関節自体に対して軽度の牽引力がかかっている状態です。
この牽引(陰圧状態)が繰り返されると、股関節内部が変性し痛みが現れる。
また、結果的に回旋中心がズレて関節内の潤滑がうまくいかなくなることがあります。とくに後方部分の潤滑不全が起こりやすくなり、それが歩行時や内外旋動作時の痛みとして現れるのです。
こうしたケースでは、
WB体操(ウェイトベアリング体操)が非常に効果的です。
実際に指導すると、「これなら痛くない!」
という反応をされる方が多く、体操の正しい使い方がポイントになります。
症状を抑えるだけでなく、股関節の正しい使い方を身体に再学習させる目的でも有効です。
当院は、このように原因追及に努めご自身で体のこと理解してもらうことを目的にしております。
必要な体操指導を行いますのでお気軽にご相談ください。
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