― 非特異性の痛みと治療院の役割 ―
「腰が痛いのは筋肉が弱いから」「鍛えれば治る」
そんな話を聞いたことがある方も多いと思います。
でも、実際に筋トレを頑張ってみたのに、
「思ったほど痛みが変わらなかった…」
という声もよく耳にします。
それはなぜでしょうか?
✅ 非特異性疼痛とは?
腰痛を例にします
多くの慢性的な体の痛み(特に腰痛)は、「非特異性疼痛(非特異的痛み)」と呼ばれます。
これは、「レントゲンやMRIではっきりした原因が見つからない痛み」のことです。
実際、腰痛の約85%がこの“非特異性”に分類されると言われています。
つまり、
「どこが悪いのかよくわからないけれど、確かに痛い」
というのが、現実に多くの方が抱えている痛みなのです。
❌ 筋肉が弱いから痛い、とは限らない
「体幹が弱いから」「インナーマッスルが足りないから」
といった説明をされることもあるかもしれません。
たしかに、筋力がまったく関係ないわけではありません。
でも、それが痛みの“原因”そのものではないことが多いのです。
• 筋肉が強くても痛い人はいます
• 筋力が弱くてもまったく痛くない人もいます
重要なのは、「筋肉が使えているかどうか」「体全体の動きが整っているかどうか」です。
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✋ 治療院の手技療法が大切にしていること
当院では、痛みの原因を“体の使い方”や“動きの癖”の中から見つけていきます。
画像に映らない「小さなズレ」や「過緊張」「動かせていない筋肉」などに目を向けるのが、手技療法の役割です。
• 肩の高さの違い
• 歩き方のバランス
• 呼吸の浅さ
• 腰を反るクセ
こういった要素が、筋肉や関節に負担をかけて、やがて痛みにつながっていくことも少なくありません。
だからこそ、目に見えない体の状態を“手で診て、整える”ことがとても大切なのです。
⚡EMSについて
最近は「EMS(電気筋肉刺激)」もよく聞くようになりました。
筋肉に電気刺激を与えて、トレーニングの代わりになるという機器です。
論文でも短期的な痛みの軽減は、認められたが長期的な疼痛改善や機能改善には有意差はないとの報告もあります。
もちろん筋肉が弱くて痛みが出ている人もいると思いますが、必ずではないと思いますので
私の院では、おすすめしません。
原因が不明確なものに対してお金をプラスでもらってまで勧めたくないからです。
そんなことよりも手技による感覚、前回の治療からの感触を大切にしています。
📝 まとめ
体の痛みの多くは、「筋肉が弱いから」だけでは説明できません。
• 本当に見るべきなのは「体の動き方」「使い方」
• 痛みは、筋力だけではなく体全体のバランスや生活のクセからも生まれます
• EMSは「補助的なサポート」であって、必須ではありません
• 手技で“体の状態”を丁寧に診ていきます
痛みでお悩みの方は、筋トレの前に、まず今の体の状態を知ることから始めてみませんか?
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